- 社会人が働きながら税理士を目指すのは無理?
- 仕事と受験勉強を両立できる人は何が違う?
- 5科目官報合格まで何年かかる?何歳まで目指せる?
この記事では、税理士を目指す社会人の方向けに、
働きながら最速で税理士5科目官報合格を目指すキャリアプランを紹介します。
ぜひ参考にしてみて下さい。
この記事の目次
税理士試験に「働きながら合格」は無理?
税理士試験に働きながら合格することは、結論として可能です。
というか、税理士試験というのはそもそも「社会人向け」にできている試験ですので、
合格者のほとんどは働きながら勉強している社会人なんですね。
この記事を書いている時点での最新の税理士試験結果(令和3年度:第71回試験)の結果を見ても、
↓5科目到達者数の年齢別割合は以下のようになっています。
(5科目到達者の合計数は585人)
- 41歳以上(256人)
全体の43% - 36〜40歳(116人)
全体の19.8% - 31歳〜35歳(98人)
全体の16.75%
31歳以上の人の数を合計すると470人(256人+116人+98人)ですので、
5科目合格者全体に占める割合は80.34%にもなります。
(470人÷全体585人=80.34%)
31歳上の人というのはなんらかのかたちで仕事をしているでしょうから、
全体の8割以上は社会人として働きながら税理士試験5科目に合格しているわけですね。
税理士5科目合格者の多くは会計事務所勤務
こちらは残念ながら正確なデータがないのですが、
社会人として働きながら5科目合格を果たしている人の多くは、
会計事務所(税理士事務所)勤務だと思われます。
税理士登録するためには、試験合格しても2年間の実務要件を満たす必要がありますから、
会計事務所で別の税理士のもとで修行しながら試験合格を目指す人が圧倒的に多いのです。
もちろん、試験勉強の時間を安定的に確保することは必須です。
働きながら取得を目指すのであれば、職場選びが最も大切であることを理解しておきましょう。
(どういう会計事務所で働くか?がとても大切)
激務の職場環境では勉強との両立はなかなか難しいです。
なので、できれば官報合格者が毎年多く出ている事務所を選びたいところですね。
>>環境劣悪な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
税理士試験の「科目合格」の転職市場における価値について
- 税理士試験は科目合格でも価値がある?
- 会計事務所への転職ではどう評価される?
- 科目合格の有無で年収が変わることはある?
税理士試験は科目合格制度が認められている試験です。
(科目合格制度=1回合格した科目は一生有効)
会計事務所で働いている人の多くが税理士試験の受験生ですので、
この業界には「科目合格はあるけど、5科目合格はまだの人」が人口として一定数いることになりますね。
この記事では、この「税理士試験の科目合格」が、税理士業界の転職市場でどの程度価値があるのか?について解説します。
すでに会計事務所で働きながら税理士試験の勉強を進めている人や、
これまでは受験専念していたけど、科目合格ができたタイミングで就職を検討中という方も、ぜひ参考にしてみてください。
税理士試験科目合格の価値は「応募する事務所の規模」によって異なる
税理士試験科目合格の転職市場における価値について、
↓結論から先にまとめると、以下のような感じになります。
- 大手税理士法人に転職する場合
実務未経験者は科目合格以上でないと応募することができません(科目合格はとても重要) - 小規模な会計事務所に転職する場合
未経験者も応募することが可能です(科目合格はそれほど重要視されません)
つまり、税理士試験の科目合格が重要な意味を持つのは、
実務未経験の人が大手の会計事務所に就職活動するときに限られます。
実務経験者として転職活動する場合には、
大手事務所・小規模事務所ともに科目合格の有無はあまり重要ではありません(重要なのは実務経験です)
↓その理由について、以下で解説していきますね。
大手税理士法人の未経験者採用では科目合格が必須要件
BIG4税理士法人や国内大手の会計事務所は、
実務経験者・未経験者ともに応募する人が非常に多いです。
実務経験者に関しては「過去の職歴でどういう経験をしてきているか?」が採用の絶対基準になるのは一般企業と変わりません。
一方で、未経験者は職歴というものがそもそもありませんから、必然的にポテンシャル採用(過去の職歴によらず、その人の能力や性格的な適性から採用可否を判断する選考方法)となります。
一般企業であれば、ポテンシャル採用においては「学歴」や、「学生時代に打ち込んだこと」などが採用可否を分ける要因になったりするわけですが、
税理士業界においては税理士試験の進捗具合という「より確実度の高い基準」があります。
そのため、大手税理士法人の未経験者採用においては、
税理士試験の科目合格が書類選考突破のための絶対条件となっているのが現状です。
どの科目合格があるか?も重要(BIG4税理士法人の特殊な採用方式)
また、「どの科目に合格しているか?」も重要です。
なぜかというと、大手税理士法人では「担当する税法分や別に採用活動を行う」というスタイルをとっているからです。
↓以下はEY税理士法人の例ですが、担当セクション別の採用を行なっています。
- 消費税コンサルタント
- 税務コンサルタント(個人所得税に係るアドバイザリー)
- 移転価格コンサルタント
- 事業再編税務コンサルタント
必然的に、消費税コンサルタントの採用なら税理士試験は消費税法の合格がある人が優先されるでしょうし、
個人所得税に係るアドバイザリーセクションなら所得税法の合格者がのぞましいでしょう。
多くの人は会計科目2科目を取得してから税法科目の勉強に進むと思いますが、
どの税法科目を選択するか?は、税理士としてのキャリアにも影響を与えることを理解しておきましょう。
↓※なお、ここでいうBIG4税理士法人というのは以下4社の外資系大手グループのことです(念のため)
- デロイトトウシュトーマツ税理士法人(DTT)
- アーンスト&ヤング税理士法人(EY)
- プライスウォーターハウスクーパース税理士法人(PwC)
- KPMG税理士法人
個人事務所レベルの会計事務所では科目合格がなくても採用される
一方で、ごく一般的な個人事務所レベルの会計事務所においては、
未経験者であっても、科目合格の有無によらず採用される可能性があります。
(なお、会計事務所のほとんどがこの「個人事務所レベル」の組織規模です)
個人事務所レベルの会計事務所は慢性的に人手不足のところが多いですから、
科目合格の有無などで採用可否を判断するよりも「仕事に早く慣れてくれそうか?」で採用可否を判断する傾向があります。
個人事務所レベルの会計事務所では、科目合格はあくまでも「参考情報」
もちろん、税理士試験の科目合格というのはそう簡単なことではありません。
地頭の良さが必要ですし、合格まで継続的な勉強ができる強い意志が必要なのは間違い無いです。
科目合格があれば「これまでこういうことをやってきました」という自己PRにつなげることはできますが、
それが絶対条件ではないということですね。
税理士試験の科目合格がない人でも採用される可能性はありますし、
逆に、科目合格がかなり進んでいる人でも仕事のポテンシャルが期待できない…と判断されれば不採用になる可能性もあるというわけです。
>>環境劣悪な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
働きながら合格を目指す社会人へ!短期合格のコツ
1. プライベートをすべて勉強に費やす覚悟を持とう
税理士試験は、1科目あたり500~600時間の勉強時間は最低限必要です。
しかも、税理士試験は1年に1回しか受験のチャンスがありません。
また短期合格を目指すのであれば、複数科目の同時受験を目指すことになり、1日4~5時間の勉強時間が必要になります。
つまりプライベートで遊ぶ時間はほぼ無いと言っても過言ではありません。
短期合格を目指すのであれば、数年間はプライベートをすべて勉強に費やす覚悟を持ちましょう。
2. 独学は無理な試験なのであきらめること(必ず資格スクールを利用する)
税理士試験の勉強は、独学で受験するのは禁物です。
内容が難しく、ボリュームも大変多いため独学で勉強するのは非常に効率が悪いです。
周りに受験生がいた方が緊張感をもって勉強できるという利点もあり、結果的に学校に通うのが合格への近道です。
通信講座という方法もありますが、できれば大原やTACなどのスクールに通うことをおすすめします。
3. 税法科目選択のポイント
税理士試験は全11科目の中から5科目合格すれば良いという試験ですが、必修の2科目を除いた税法の選択がポイントになります。
また、法人税法または所得税法のいずれかも選択必修科目のため、将来的に法人を顧客とするつもりであれば法人税、個人であれば所得税を選択しましょう。
この2科目は税理士試験の中でも最もボリュームが多いため、もう一方の科目はノータッチにするのが合格への近道です。
また、残りの科目はできるだけ勉強の負担が少ない科目を選びたいところですが、実務のことを考えると酒税法はあまりおすすめできません。
法人メインに考えている人は消費税や国税徴収法、個人であれば相続税や固定資産税などがおすすめです。
4. 仕事内容と試験対策をリンクさせる方法
税理士試験は、試験内容と実務が密接に関係しています。
特に計算問題は、実務をやっていてベースが出来上がっていたほうがイメージがしやすいものです。
税理士を目指す人は、会計事務所や税理士事務所で働く人が多いという前提で、できれば税務申告業務に積極的に関わっていきましょう。
業務上では嫌でも税法や税計算に関わることになるため、自ずと税理士試験科目の基礎ができあがるものです。
>>環境劣悪な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
税理士は30歳からでも目指せる
税理士は30際から勉強を始めても充分に間に合います。
会計事務所では税理士を目指して入社・転職する人も多く、
これから勉強を始める人、科目合格で入社する人もたくさんいます。
事務所の平均年齢も、私が知る限り30代~40代の人が多く、
30歳から勉強を始めるのは決して遅い年齢とは言えません。
30歳から税理士を目指すなら、少しでも早く会計事務所で実務経験を積み始めよう
30歳から税理士を目指すのであれば、
少しでも早く税理士としての実務経験を積み始めることが大切です。
なぜなら、転職市場の年齢限界は35歳と言われています。
それを過ぎると一気に転職は厳しくなるからです。
特に業界未経験者で35歳以上では、
会計分野ではなかなか採用されないため、
勉強と同時に実務経験を積んでおく必要があるのです。
実務経験を積んでおけば、最悪税理士に合格できなくても、
事業会社経理や税理士法人勤務などの会計分野への転職も可能です。
>>環境劣悪な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
目標は5年間!働きながら税理士合格を目指す社会人のキャリアプラン
年齢30歳以上の社会人の方が働きながら税理士合格を目指すなら、
おおむね5年間以内に税理士試験5科目の合格を目指すのが良いでしょう。
↓この間のキャリアプランとしては以下のようなかたちを目安にしてみて下さい。
1〜2年目:未経験で会計事務所に転職!会計2科目を受験
まず、会計事務所への入社と同時に会計2科目の合格を目指しましょう。
簿記論と財務諸表論は、同時に勉強すると効率が良いです。
会計の基礎でもありますので実務でも役立ちますよ。
5年間で5科目合格するには、
最低でも2年間で1科目以上の合格ができないと厳しいです。
後になればなるほど他にも勉強しなければならない科目が増えていきますので、ここは最低条件です。
なお、税理士試験の勉強については独学では行わず、資格スクールを活用しましょう。
費用は1科目あたり20万円ほどかかりますが、効率的な学習ができ、自習室なども自由に使えるので、投資対効果は独学よりも間違いなく高いです。
3年目:会計2科目と税法1科目合格
簿記論・財務諸表論のうちいずれかに合格していれば、3年目は税法の学習に入ります。
税法は暗記項目が格段に増え、
難易度も高いため会計2科目とは勉強の仕方も異なります。
会計2科目のうち1科目と並行して勉強するのであれば、ややボリュームが少ない消費税などがおすすめです。
実務のほうも、規模の小さい事業者であれば税務申告も一通りこなせるようになっているはずです。
仕事に没頭しすぎず、なるべく勉強時間を確保していくようにしましょう。
4〜5年目:税法難関科目を複数回受験し合格を目指す
4~5年目は、いよいよ税法の最難関である法人税または所得税の学習に入ります。
いずれの科目もボリュームが大変多く、また難易度もかなり高い科目です。
1回で合格できるのが理想ですが、2~3回で合格を目指すように無理なく学習しましょう。
また、この頃には会計科目は合格し、税法もできれば1科目合格しているのが望ましい頃なので、最後の科目としては相続税がおすすめです。
相続税は少子高齢化の時代において、税理士業界でもっとも稼げる分野として注目されています。
もし少しでも早く合格を目指したいのであれば、酒税法や国税徴収法などボリューム・難易度ともに少なめの科目を受験するのもありです。
しかし、今後税理士として独立を目指すのであれば、少しでも実務で役に立つ科目を選択することをおすすめします。
5年目で3科目以上合格できていれば、それに伴う実務経験もあるため、より条件の良い会計事務所への転職も検討することが可能です。
また、一般企業の経理や財務への転職であれば1科目合格だけでも充分なアピールができます。
>>環境劣悪な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
【どんな税理士事務所で働くべきか?】働きながら税理士試験合格を目指せる勤務先の選び方
1. 最低限の年収をきちんと稼げる環境
働きながら税理士を目指すことは可能です。
これから税理士業界へ転職しようとしている場合、
まずは正社員で年収350万円程度を目安にしましょう。
受験科目によって金額は異なりますが、
例えば資格学校の簿記論の受講費用は年間約20万円必要です。
今は一人暮らしの人でも今後は家族を持つかもしれません。
まだ業界未経験で勉強もこれから始めようという方でも
社会人経験がある方なら年収350万円以上の求人はたくさんあります。
2. 先輩職員に税理士有資格者・科目合格者・税理士受験生がいるか
税理士試験はコツコツ勉強を続けることがとても大切です。
会計事務所全体が勉強を促す雰囲気であればモチベーションを維持しやすくなります。
応募しようとしている会計事務所に税理士受験生はいますか?
過去に働きながら合格した人はいますか?
例えば従業員5〜10名の小規模事務所の場合、
有資格者は1名、科目合格者が3名いれば十分です。
しかし、従業員50〜100名の大規模・中堅事務所の場合で、
有資格者が2、3名、科目合格者が1割程度の場合は注意するようにしましょう。
3. ひとり当たりのクライアント担当件数が25件程度
1人当たりの担当社数は25件前後が一般的です。
担当する関与先の規模や訪問頻度によりますが、
毎月平均2件の決算作業を行いながら月初は会議に出て、
月半ばから週に3回程度の月次監査(外出)をするイメージです。
もし会計事務所のホームページ等におおよそのクライアント数が載っていれば、
従業員数で割れば1人当たりのおおよその担当数がわかります。
私は面接で入社何年目でどれくらいの担当数になるか質問していました。
4. 残業時間が少ないことを明記している求人
残業時間が多くて毎日帰宅が23時になってしまう!
そんな状態では勉強時間の確保に限界があります。
確定申告による一時的な繁忙期の残業は仕方ないにしても、
残業時間は20〜40時間(1日当たり1〜2時間程度)に抑えたいところです。
そうすれば自宅に帰ってから通信講座の授業を消化したり、
資格学校の夜の授業開始時刻に間に合わせることもできます。
私が消費税法に合格したときは平日の朝もしくは帰宅してから3時間前後の勉強をして、
土日に6時間前後の勉強時間を確保できていました。
募集要項に「固定残業時間〇時間込み」という文言をよく見かけますが、
そもそも40時間を超える会計事務所は避けましょう。
5. 有給休暇や試験対策休みが取りやすいこと
有給休暇が取りやすいかどうかは重要です。
どんな方でも働きながら勉強時間を確保することは簡単ではありません!
1年間を通してコツコツ勉強する人もいれば直前期に追い込む人もいるでしょう。
自分のペースに合わせて自由に有給休暇を取得できれば勉強時間を確保しやすくなります。
私が勤務する会計事務所では直前期に追い込むタイプなら、
試験休暇と有給をつなげて1週間以上休む社員がいます。
また会計事務所によっては資格学校の受講費用を補助してくれることがあります。
税理士資格取得のために熱心に勉強する人を嫌う会計事務所はありません。
税理士試験直前に何日くらい休んでいる人がいますか?
受講費用の補助制度を使っている人がどれくらいいますか?
面接等でぜひ質問してみましょう!
ブラックな会計事務所で働きたくない人へ
税理士業界で働く人にとって、
どういう事務所で働くか?は、
その後の人生を決定してしまうほど重要な問題です。
ブラック事務所の労働環境は本当に過酷です。
激務すぎて税理士試験との両立なんて不可能ですし、
月給手取り16万円で毎日のように残業させられる…
みたいなこともあります。
会計事務所で働けるならとりあえずOK(どうせ独立するし…)
↑こういう感じで税理士業界に入ると失敗してしまうので注意してください。
ブラック事務所を最初から選択肢に入れないことが大切ですよ。
ブラック事務所にまちがえて入社してしまうリスクを避けたい人は、
会計職専門の転職サイトで求人情報を探すのがおすすめです。
ブラック事務所の求人はあらかじめ排除されているので、
まちがえて応募するリスクを避けることができます。
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情報リサーチに活用しましょう。
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という選択肢に気づけます。
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